とある廃墟の教会に暮らす、とても優しい吸血鬼。

彼は、自分が吸血鬼であることを忌み嫌っていました。人間は彼が吸血鬼であることを恐れ、彼の大切な家を壊してしまいました。その度に彼はこの廃墟の教会に身を潜め、ずっと願っていました。「誰か、自分のことを殺してくれないか?」と。しかし、彼の気持ちとは正反対に吸血鬼の体はそうは上手くいきません。ずっと血を求め続け、飢える度に彼の意識を奪い、人間達の命を奪ってしまうのです。

 

そんな時でした。

彼の元に、双子の姉弟が現れます。その一人である弟が彼に問いました。「貴方は死にたいのですか?」と。誰かはわからない。でもずっと求めていたこと。頭を静かに頷かせると、その双子達は笑顔を浮かべました。そして、彼に提案をするのです。「貴方を殺して差し上げますのです」と。

 

このお話は、そんな吸血鬼と双子達が織り成す物語。