「全ての現象には、時が存在する」

 

手元の書物をゆったりと繰りながら、目の前の彼は呟きました。時折、手元のガラスペンですらすらと描かれる文字には時計盤が浮かび上がります。その光景に貴方は目をぱちくりとさせますが、彼は何でもないことのように、淡々と進めていきます。

 

「でも時は一様に同じとは言えない。周りの環境で、展開が変わるなんてよくある話だ」

 

手が止まります。ふぅ、と一息付きながら椅子に持たれかけ、先ほどとは打って変わって、青年はだらりとくつろぎ始めました。

 

「その時に対応出来るのが、時の管理人である俺の仕事ってわけ。ま、要するにお前さんのいた世界は俺が管理しているって話だ」